見世物小屋と豚の脳みそ

友人に誘われて、新宿の花園神社の酉の市に、日本で最後になったという「見世物小屋」に出かけた。

店の前で、マイクを持って延々と煽り文句をしゃべるおばはんの声を聞きながら、中に入る。
退屈で意味不明な「手品」を披露したあと、二人の中年女性が大小色々な蛇を持ってきて見せびらかす。
それが終わると、今夜のヒロイン・蛇食い女の「おみねさん」が登場する。

「おみねさん」は、フランケンシュタインの怪物のようなメイクをした、推定70歳のおばあさんだ。
この人が蛇を食べまくったり、舌にろうそくを垂らしたり、火を吹いたりしてみんなを「驚愕」させていた。泣いている小学生もいる。
芸もすばらしいのだが、僕はこの人の人生について、思いを馳せていた。

彼氏はいるんだろうか、募集していないだろうか。結婚したことがあるのだろうか、夫と「蛇」が原因でけんかしたことがないだろうか……。
「俺と蛇のどっちが大切なんだ!いっつもポリポリ蛇ばっかり食いやがって……」
とかね。
恋愛はしたことがあるんだろうか。
このおばあさんにも、初恋の季節や、恥じらいなどというものがあったのだろうか……。

蛇のことより、このおばあさんの人生のほうが心配になってしまった。

しかしこの「蛇食い女」、後継者がいず、おみねさんが死んだら、この「芸術」は世界から消滅してしまうかもしれないのだ。
今すぐ、政府はおみねさんを人間国宝に指定し、紫綬褒章でも与えて保護を図るべきだろう。
ノーベル平和賞にノミネートするのも悪くない。ぜんぜん「平和」には貢献していないが。


ディープな夜。
見世物小屋を見たあと、みんなで出たばかりのボジョレーヌーボーを買い、歌舞伎町の裏路地にある中華料理店で食事する。
ここはゲテモノの宝庫で、豚の脳みそ、犬鍋、牛の男根などのバラエティに富んだメニューが揃っている。

「愛犬家」の僕としては、犬鍋ははずせなかったのだが、なんとなく「豚の脳みそ」の炒め物を頼む。
上品な豆腐のような味。プリンのような食感。
しかし、心なしか生臭さがある。

ゲテモノには興味があるのだが、それは体調が万全であるときに限る。僕は、なんとなく気分が悪くなってしまった。
口直しにボジョレーを飲む。
フルーティーで、グレープジュースを飲むような感覚である。喉ごしは悪くない。

隣のテーブルの客が、歓声をあげながら、犬鍋の「犬」をつついている。
歌舞伎町の、ディープで訳の分からない夜は、こうやって更けていった。
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