『世界最悪の鉄道旅行』

下川裕治『世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ』、一気読みしてしまった。

ロシアって、いまだに自由に旅行ができないのか。
あんなに面白い国なのに、惜しすぎる。

笑ったのが、ウルムチ(中国)ではタクシーに乗るのが命がけだと言うこと。
中国人は行列を作るという習性がないので、タクシー乗り場でいくら待っていてもタクシーに乗れない。
タクシー乗り場まで走ってくるタクシーのドアを走りながら開けて、飛び乗らないと乗れないらしい。
下川氏は、五日ほどウルムチにいて、結局一度もタクシーを捕まえられず、仕方なしにバスで移動したという。
スポンサーサイト



九龍城――汚濁と混沌の美学

魔窟として有名な九龍城の写真展(宮本 隆司)を見てきた。

面白かったが、この人はもともと建築物の写真家らしくて、崩れかけた建物は写っていたものの、そこにうごめく人間の息づかいはあまり写されておらず、それが残念だった。
僕としては、怪しい売人や阿片窟、犯罪者、娼婦たち、暗い殺し屋たちの影を見たかった(妄想を膨らませすぎか)。

城内は凄まじく暗く、狭く、入り組んでいて、混沌そのものだ。
僕は閉所恐怖症なので、ここには絶対に住めないと思った。
しかしこの世には狭いところの方が好きという人もいるので、そういう人にはここは楽園かもしれない。

それにしても、香港の有名なチョンキンマンションといい(僕は行ったことがないが)、中国人にはこういった混沌と迷宮を作り出す文化と本能があるのかもしれない。
だとしたら、この九龍城も、汚濁と混乱には満ちているが、一種の前衛的な芸術作品と言えなくもない。

疑似科学と科学

疑似科学と科学が戦えば、絶対に疑似科学が勝つ。当たり前だ。

そもそも、疑似科学は、情熱の量が違うからだ。

『圏外編集者』

都築響一『圏外編集者』(朝日出版社)を読了。
僕は編集者ではないが、いろいろ胸に迫るものがあった。
とりあえずクリエイティヴ関係の周辺をうろついている人は、読んでおいて損はない思う。

面白かったのが、「頭に『現代』とつけると、何でもろくでもない物になる」というところ。
現代芸術、現代音楽、現代文学……どれも難解そうで、しかつめらしく、嫌らしく、うっとうしい。
なるほどなあと思った。

虚構

なぜ虚構を書くのか。
それは、真実を描くには、虚構をもってするしかないからだ。

本当のことを言うには、絶対に嘘が必要なのだ。

トラークルとBRUTUS

ところで、僕の『トラークル』の書評が、かつて「BRUTUS」に載っていたらしい。ミスマッチ感がすごいが、どんなものだったのだろうか。いまだに見ていない。