偽ベートーヴェンもそうだが、とにかく詐欺師というのは本当に興味深い人種だ。
トーマス・マンが詐欺師の小説を書いた理由がよくわかる。
今話題になっているビットコインについてだが、これをしきりに宣伝し続けている社団法人日本デジタルマネー協会は、今回のマウント・ゴックス倒産事件についてはほとんど触れず、いまだビットコインの素晴らしさを喧伝し続けている。
この団体の理事を務めている人物が、FBにこんなことを書いている。
実は麻生さんから麻布繋がりで内密な依頼あって、3本目の矢はビットコインでした。この分野では圧倒的に進んでますw
これはどういうことだろう。
「麻生さん」とは麻生太郎財務大臣であり、「3本目の矢」とはアベノミクスのそれを指すのだろうか。
しかし、「ビットコインは破たんするのはわかっていた」と発言した麻生太郎がこんな人物に「内密の依頼」をするわけがない。
これは、明らかにミスリードを狙った書き込みだろう。
「麻生さん」とは、近所の「麻生青果店」とかの店主のおっさんであり、「三本目の矢」とはこれまた近所のスナックか何かの店名なのだろう。
よって、この書き込みは日本政府や財務省とは何の関係もない文章、ということになる。
これを読んで「そうか、日本政府がビットコインに肩入れしているのか……」と思い込んで思わず大量のビットコインを買い込んで破産しても、それは勝手に「誤読」した奴が悪い、ということになる。
見事、というか、見え見えの策謀だ。