震災以来、出版業界も激変している。
先日、ある評論家がこんな本を出していた。
サブタイトルが「日本化する世界」。
煽り文句にはこうある。
「ここまで成熟した国を作り上げて、どうして批判的になってしまうのでしょうか。21世紀、日本は世界のモデルになるでしょう」。
もちろん、この本は3.11以前に企画され、書かれたのだろう。
しかし、いま見ると痛々しいばかりだ。
「日本化する世界」というが、世界中で大津波やレベル7の原発事故が起こったらえらいことだし、世界はもはや、日本を見習おうなどとはしないだろう。
むしろ、「日本のように惨めな状況にならないように……」と反面教師にされてしまうに違いない。
つまり、この震災は、僕らの視座そのものを変えてしまったのだ。