ムーディ勝山は面白い

いや、最高です。ムーディ勝山さん。

彼は吉本の芸人で、インチキくさい髭を生やし、タキシードを着て、あまりにムードの溢れかえった服装で、意味不明な歌を歌う。
彼のオリジナルの「ムード歌謡曲」は、

「右から来たものを左へ受け流すの歌」
「数字の6に数字の5を足したの歌」
「2日前から後頭部に違和感がある男の歌」
「窓から虫が入ってくるのを気にしない女の歌」
「19時に始まり21時半に終わる披露宴の歌」

など、どれも感動的で、すばらしい歌ばかりである。

すでに有名だが、「右から来たものを左へ受け流すの歌」は次のような歌だ。


右から 右から何かがきてる
僕はそれを左に受け流す

いきなりやってきた
右からやってきた

ふいにやってきた 右からやってきた
僕はそれを左へ受け流す

右から 左へ受け流す
左から右へは、受け流さない

右から右から そう右からきたものを
僕は左に受け流す

もしも あなたにも
右からいきなりやってくることがあれば
この歌を思い出して そして左に受け流してほしい

右から来たものを左に受け流すの歌

……

ああ この東京砂漠



これを、「いったい何が右から来ているんだ?」「東京砂漠とは何だ?」と真剣に考える人は、おそらくこの歌のおもしろさはわからないだろう。


Yahoo知恵袋を見てみると、「ムーディ勝山はどこが面白いんですか」という質問がやたらと多い。つまり、彼のおもしろさがわからない人も、また多いのだ。
これは、彼の歌が「ナンセンス」だからだろう。何にでも意味を追い求める人、「すべての歌や本には何か言いたいことがある」と信じている人、つまり「真面目な人」は、彼のおもしろさがわからないだろう。
つまり、ナンセンスをナンセンスなままに楽しむことが必要なのだ。

「右から左」もすばらしいが、同じくすばらしいのが「数字の6に5を足したの歌 」だ。これはナンセンスの極みであり、傑作である。ムーディのすばらしいところは、こういう意味不明な歌を、真剣に、熱く歌うことだ。
そして、実は彼は歌がうまいし、声もいい。彼の芸を底辺で支えているのは、彼の歌の実力だろう。本当に歌の下手な人間がこの歌を歌っても、全然面白くないはずだ。

数字の 6に 5を足した

数字の 6に 5を足した

いきなり足してみた 数字の6に足した

不意に 5を足した ちょっと足してみた

僕は数字の6に 5を足した

数字の 6に 5を足した

電卓も使わず頭の中で暗算した

だから 今夜だけ 隣で眠らせて

そして数字の6に 5を足して

今夜 1度だけ 数字の6に数字の 7を足してしまいたい

けれどやっぱり 5やないとあかんねん

今夜も数字の6に 5を足すねん

数字の6に 数字の5を 足したの歌

あー 横浜ベイブルース



「いったい何が言いたいんだ?」
と聞かれても困る。おそらく、言いたいことなんてないんだから。

「薔薇の花に『なぜ』はない。薔薇の花は咲くから咲く」
というドイツの詩人の言葉があったが、本当に美しいもの、面白いものには初めから意味はないし、また、あってはならないのだ。
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ストックホルムの囚人

「ストックホルム症候群」ー

これは、銀行強盗などで人質に取られた人々が、なぜか犯人に同情したり、協力したり、逆に犯人と敵対する警察を攻撃する心理状態のことだ。

奇妙な心理に思えるが、これは実は僕らのまわりで普通に見られる光景である。


僕らを支配し、縛りつけ、税金を略奪する政府や権力者を、なぜか信頼し、賛美し、逆に権力に反対する者を排斥する心理である。

僕らはみなストックホルムに住んでいるのであり、僕らはみなストックホルムの囚われ人なのだ。

早稲田大学の公開講座の講師をします

6月より、早稲田大学の公開講座で講師を勤めます。
テーマは「お祭り探訪~日本の祭りを楽しむ」です。

僕のスケジュールの都合により、今回は4回だけですが、よかったら遊びに来てください。費用もその分安くなっています。
パンフレットを見ると、泉麻人さんも「東京昭和観光」というタイトルで講師をされるようですね。
まあ、肩のこらない、楽しい講座にしたいと思います。

・「お祭り探訪~日本の祭りを楽しむ」

・6月6-27日の水曜日 10:30-12:00

早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校にて

・日本には30万を超える祭りがあります。その中から重要で魅力的な祭りを取り上げ、その由来や歴史に触れながら、祭りの実像の中に入っていきます。その上で、講師が今まで多くの祭りを取材した経験から、その祭りの見所や楽しみ方、祭りを見る前に準備しておくこと、情報の集め方、写真のうまい撮り方など、祭りをより楽しむ方法を実践的にご紹介します。珍しい「奇祭」も取り上げます。

・受講料 1万円

・お申し込みはこちらから

KBCラジオに出演

今日、KBCラジオ(九州朝日放送)の「ナカジー・けいすけのゲバゲバサタデー」に出演しました。

「杉岡も驚いた奇祭ベスト5」と銘打って、笑い祭り、宮古島のパーントゥなどの話をしました。
テレビやラジオは、番組や局によって、あきらかに雰囲気が違ったりするのですが、この番組はほんわかしてアットホームでよかったですね。僕も調子に乗って、いろいろ余計(?)なことをしゃべったりしました。

『珍祭・奇祭きてれつガイド 日本トンデモ祭』を絶賛発売中!



僕の新刊『珍祭・奇祭きてれつガイド 日本トンデモ祭』(美術出版社)は、絶賛発売中です。

これは、おしろい祭り、きちがい祭り、乞食祭り、しねり弁天たたき地蔵など、本邦初公開の奇祭も満載で、僕がここ数年行ってきた、奇祭取材の集大成です。

最寄りの書店ほか、アマゾン7&Y楽天ブックスbk1などでも扱っています。

また、心優しい方は、10冊くらいいっぺんに買って、親戚や友達に配ると喜ばれると思います。
読んでいただいたら、アマゾンなどに五つ星の絶賛感想文を寄せていただけると、嬉しいです。
アマゾンでの最高位は、77位でした。

2006年、第11回ライターズネットワークの「フットワーク賞」受賞。