水止舞を見に行く

7月14日、東京は大森の変な祭り「水止舞」を見に行った。素晴らしく暑い日だった。
これは、雨を止める祭りである。雨乞いの祭りはいっぱいあるが、雨を止める祭りは世界でも珍しい。
この祭りでは、雨を止めるためと言いながら、男を米俵のお化けのようなものの中に入れ、地面に転がし、水をジャンジャンぶっかける。その間、男は俵の中で、法螺貝を「ブォー、ブォー」と無茶苦茶な音程で吹きまくる。
なんで俵の中で法螺貝を吹かにゃならんのか。とんでもなくマヌケでシュールな祭りだった。
この祭りが面白いのは、まるでイーゴル・ストラヴィンスキーの音楽みたいなところがあることだ。
男が俵の中でヤケクソ気味に法螺貝を吹きまくる背後で、子供達が集まって笛を持ち、極めてまともな神楽を演奏するのだ。
これは、ストラヴィンスキーが「ペトリューシカ」や「春の祭典」で創めた、まったくつながりのない調性のメロディーを強引に組み合わせる作曲法と似ている。
この祭りは約700年前に始まったというから、その頃から、遠く離れた東洋の国で、ストラヴィンスキーの芸術を先取りした祭りがあったということか。
それほどシュールでアヴァンギャルドな祭りだった。東京もなかなかやるもんである。
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