作家と狂気

物書きは、統合失調症(精神分裂病)的なところがなければならない、というのが僕の持論である。
少なくとも、優れた物書きならば。

統合失調症の症状の一つに、「奇語」というものがある。
それは、存在しない単語や文法を自分で勝手に作り出し、一般には理解不可能な言葉をしゃべったり、文章を書いてしまったりすることだ。
これが、少なくとも優れた作家には必要な資質なのだ。

作家が勝手に言葉を作ってしまう、ということはよくあることだ。
たとえば、「月並」という言葉は今では普通に使う言葉だが、これは夏目漱石が勝手に作った言葉である。
『我輩は猫である』の中に出てきて、迷亭が使うのだが、それを聞いた苦沙弥先生の細君が、意味がわからず「それはどういうことですか」と聞くシーンがある。

ドイツ語の普通の辞書に出てくる"morgenshön"(朝のように美しい)は、ゲーテが、シューベルトの作曲で有名な"Heidenröselein"(のばら)の中で、初めて使った言葉である。
それまで、ドイツ語にはこんな言葉は存在しなかったが、ゲーテが創造して以来、普通のドイツ語の辞書にもきっちり載るようになった。

ジェームス・ジョイスの「フェネガンズ・ウェイク」は、「読めない本」として有名である。
ジョイス自身はアイルランド人なのだが、彼はこの作品を、英語とも、アイルランド語とも、ゲール語とも、古代ゲルマン語ともつかない、そしてそのすべてをまぜこぜにしたような、とうてい普通の人には理解不可能な言語で書いている。
彼はここで、誰にも理解できない、新しい言語を創造してしまっているのだ。
この作品は、「統合失調症患者の作品」とも呼ばれている。
実際、ジョイスの娘は統合失調症を発症している。この病気は遺伝することが多いので、ジョイス自身が統合失調症にかかっていた可能性は高いのだ。

ドイツ表現主義の最高の詩人であり、ジャンキーでもあったゲオルク・トラークルは、27歳のときにコカインの過剰摂取で死亡したが、彼も生前、医師により「精神分裂病」の診断を下されている。
このことは、僕の『ゲオルク・トラークル、詩人の誕生』にも書いてある通りだ。
トラークルの異様で独創的な語法、詩法は、やはり病気の向こう側からやって来たのだろう。


つまり、独創的な文体や語法を編み出す者は、とうてい正気であってはならず、統合失調症の素質を持たねばならないのだ。

だから、面白く優れた文章を書きたい人は、やみくもに書く練習をしたり、「文章論」などといった本を読んで勉強するより、発狂したり、正気を失う努力したほうが、はるかに手っ取り早いのである。
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小泉首相にツッコミを

先日書いた、「ホリエモンが武部幹事長の次男に3000万円送った」疑惑
こいつのおかげで、いま衆院予算委員会は大騒ぎになっているが、ここで小泉首相がとてもナイスなコメントをしているので、引用しておこう。

「ガセネタをもとにした情報で人の名誉を傷つけるのは厳に慎むべきではないか」
朝日新聞 2月17日


あのー、「イラクが大量破壊兵器を持っている」というガセネタを持ち出して、イラク戦争を支持したのはあんたでしょうが。
しかも、ブッシュ大統領すら「情報に誤りがあった」と認めているのに、小泉は自分の間違いすら認めていない。
あんたなんかに民主党を批判する資格はないんだよ。

しかも今の衆院予算委員会は、この件につき、「どちらに立証責任があるか」でもめている。
自民党は当然、「立証責任は民主党にある。『ないこと』の証明は不可能なのだから」と主張している。

あのー、イラク戦争の時、
「大量破壊兵器を持っていないことを立証する責任はイラクにある」
と主張していたのは、小泉さん、あんたでしょうが。
「『ないこと』の証明は不可能」ではなかったのか。

とにかく、小泉をはじめ政府の連中は、自分の利益や都合で発言を平然と変えることがわかる。
こんな連中を、去年の選挙で、国民は国会議員に選び出したのだ。
「実際に大した票数を取らなくても当選してしまう」という小選挙区制の問題があったにせよ、だ。

やはり「すべては金で買える」

今は塀の内側で、容疑事実を果敢に否定しているホリエモンだが、彼の名言「すべては金で買える」が、やはり真実であったことが明らかになった。

<衆院予算委>堀江被告、武部氏二男に3千万振り込むメール

 民主党の永田寿康衆院議員が16日午前の衆院予算委員会で、昨年の衆院選に出馬したライブドア前社長の堀江貴文被告が、自民党の武部勤幹事長の二男と同じ名前の人物に、衆院選(8月30日公示)の直前に「選挙コンサルティング費」として3000万円を振り込むように指示した、堀江前社長の社内メールの存在を指摘した。武部氏はこの事実を否定した。武部氏は堀江前社長が出馬した広島6区に応援に入るなどしており、メールの内容が事実なら今後、政治問題化する可能性がある。
 
 永田氏によるとメールの日付は05年8月26日付。「シークレット・至急扱いで処理。おそくても31日、できれば29日までに3000万円を振り込むように手配してください。項目は選挙コンサルティング費で処理」とする内容を読み上げた。メールの本文では振込先には姓はなく名前だけだったが、永田氏は調査の結果、この人物を武部氏の二男と指摘した。さらに永田氏は武部氏や武部氏の二男、堀江前社長ら5人の国会への参考人招致を要求した。
 
 当時自民党で選挙を担当する党総務局長だった二階俊博経済産業相は予算委で「公認も推薦もしていないので、選挙スタート時点では(堀江前社長への)踏み込んだ調査はしていない。(3000万円などの)具体的な問題については全く関知していない」と答えた。【須藤孝】
-以下略(毎日新聞) - 2月16日13時8分更新


これが事実なら、堀江氏が自民党本部で武部幹事長の横で記者会見したり、武部氏が選挙戦中に広島6区入りし、堀江氏の手を取り、「堀江氏は私の弟、息子です!」と絶叫したのも、この「選挙コンサルティング費」3000万円が効いたからだ、ということになる。

やはり、この世は金で何でも買えるのである。
特に武部氏の場合、3000万円出したら、武部氏の弟か息子になれるらしいので、そのケがある人は試してみたらいいだろう。

武部氏は、ホリエモンが塀の内にいて反論できないことをいいことに、
「私は堀江氏に『金がすべてではないんだ』と一時間くらい説教した」
と主張していたが、選挙コンサルティング費のことが事実だとすると、そんな説教は酔っ払いのたわごとでしかない。
というか、この主張自体がウソなのだろう。
心から思うが、武部ごときに説教されたくない。武部なんかに説教される人間がいたら、この世にこんな悲惨な人間もいないということになるだろう。

やはり、世の中のすべては金で買える。
これが、堀江氏と氏の「兄かつ父親」である武部氏が僕らに教えてくれたことだ。

掲示板で中傷される=「インターネット免許制」について

この間、僕のサイトの掲示板に、僕を誹謗中傷する書き込みがあった。
もちろん、僕は一切相手にせず、即座に書き込みを削除し、書き込んだ人間のIPアドレスをアクセス禁止にしたのだが。

僕がまったく相手にせず削除したのは、この書き込んだ人間が匿名だったからだ。
だいたい僕は顔も本名もさらして活動しているのに、誹謗中傷する者だけ名前も名乗らないとは何事か。
「私は臆病で卑劣な者なんです。だから、私を人間扱いしないでもかまいません」
と言っているのと同じだろう。

もちろん、単なる雑談や、楽しいトークなら匿名でも構わない。そういうところなら、僕も積極的に加わりたい。
しかし、人を誹謗中傷するという、人間の生命や根源を脅かす攻撃を仕掛けてくるなら、自分の名前くらいは明かすのが礼儀だろう。
そうでなければ、僕は一切相手にしない。

もちろん、相手が名前を名乗ったところで、それが本名なのか、今のところ確認する術はない。
しかし僕は、これからインターネットは「免許制」になると思っている。

ちょうど、車の免許を取らないと、車を運転できないのと同じだ。
「人間には車を運転する権利がある。だから、車の免許制をなくし、誰でも好き勝手に車に乗っていいことにすべきだ」
「さらに、車にナンバープレートをつけねばならず、陸運局に行けばナンバーで車の所有者の名前や住所がわかるというのは、プライバシーの侵害だ。車のナンバープレートはなくすべきである」
などと本気で主張する人はいないだろう。
車というものは、往々にして凶器になり、犯罪にも使われるからだ。

インターネットの言動も、人を傷つけ、名誉を毀損し、明らかに犯罪にもなりうる。
よく「言論の自由」を口にする人がいるが、この世界で、言論の自由が100%認められている国は、どこにもない(あったら教えてほしい)。

日本でも、相手を侮辱するようなことを書くと名誉毀損罪に問われるように、完全に言論が自由な国など、どこにも存在しない。
いくらなんでも、
「完全な言論の自由を確立するために、いくら誹謗中傷してもいいことにせよ」
などと言う人はいないだろう。

そして、「インターネット免許制」は言論弾圧ではない。
「誹謗中傷だろうがなんだろうが、好きに書いて構いませんよ。ただし、それを書いたあなたの身元は簡単に特定されます」
ということだ。
(某匿名掲示板でも、最近は犯罪を予告するような書き込みがあれば、すぐに書き手が警察に逮捕されるという仕組みが出来上がっている。管理者がIPアドレスを警察に開示しているからだ。もはや、「なんでもかんでも書き放題、やり放題」というユートピアなインターネットの世界は、とっくの昔に終わりを告げている)

そして、こういうところで、「匿名による言論の自由」などという奇麗事を持ち出す人に限って、実は大したことを書いていないのが世の常だ。誹謗中傷ならいくらでも書いているのだが。


数年前の「イラク人質事件」で、凄まじい世論の攻撃を受けた今井紀明さんのブログを見ながら。

組み立て式の本箱の前で泣く

組み立て式の本箱を買ってきて、組み立てようとしたのだが、これがまったく出来ず、泣きそうになってしまった。
こんなに複雑で難しいなら、初めから完成品を買うんだった。

ひょっとして、僕はADHD(注意欠陥多動性障害)なのかもしれないと思ったが、ADHDの本を買って本格的に調べてみたら、とてもこんなもんではないということがわかった。
最近は、ちょっと物を片付けられないだけで、「ADHDだ!」と騒がれすぎなように思う。
病気が言い訳になっているのだ。

いずれにせよ、組み立て式の本箱は、まるでアステカの廃墟のようになったまま、僕の周りに放り出されている。
それは、僕の涙と苦闘の結晶である。

「世界奇祭協会」(WWFA)を設立します

本日より、「世界奇祭協会」(WWFA=World Weird Festivals Association)を発足させます!
 
 ……と、一応ぶち上げておきます。

これは、書かせていただいている世界で唯一の妖怪雑誌「怪」が、「世界妖怪協会」公認をうたっているのにヒントをいただきました。

いちおうぶち上げただけで、何も予定は考えていないのですが、とりあえず「世界で唯一の奇祭評論家」の僕が会長をやり、会計をやり、幹事をやり、会員でもあるという組織です。今のところ、「世界奇祭協会」の唯一のメンバーです。

団体行動が嫌いでグループをまとめるのも面倒くさい僕ですが、とりあえず発足しますので、ここにプレスリリースしておきます。
そのうち、NGOかNPO、または株式会社かユニセフ公認組織に発展していくかもしれません(ほんまかいな)。

そして僕は、「世界奇祭協会の公認作家No.1」ということにしておきます(笑)。

世界奇祭協会お奨めの奇祭とか、認定図書とか、勝手に決めて行きたいと思います。

すでに、kisaikyokai.com のドメインも取ってしまいました。まだコンテンツは作ってないのですが、ドメインは早い者勝ちなので……。