賛成からは何も生まれない。

この世を動かすのは、否定と破壊のみである。

魏志倭人伝に次のような下りがある。

「倭人の女は淫乱ではなく、嫉妬はせず……」

これは、いかにも昔の日本人が偉かった証拠というふうにとらわれがちだが、実はそのすぐ前にこんな一節がある。

「大人みな四、五婦。下戸も二、三婦」

つまり、倭人では一夫多妻制が取られていたが、女は嫉妬したりいがみ合ったりしなかった、と言っているだけではないだろうか。

包囲網を作りすぎると、最後には自分が包囲網の中に囚われているのを発見するだろう。

伝統を馬鹿にするのと、伝統に釣られる馬鹿どもを利用して金儲けするのでは、どちらが伝統的に正しくて賢いのだろうか?

俗物を軽蔑することは、最も俗物的な所作にほかならない。